【第12回:経営指針経営と真逆な●●式経営管理は日本企業の中小企業を壊滅させる】

前回のコラムでは、

「日本企業においては、経営指針書の最適運用こそが、人件費を増やさずとも必要な人材を企業内に残し自社を人材の宝庫にすることを可能にする唯一の方法」

ということを

日本と西ヨーロッパに共通する歴史的背景とともに述べて参りました。

今回のコラムでは、日本企業の多くが犯す“アメリカ式経営管理導入が及ぼす功罪”について検証し

「人件費を増やさずとも必要な人材を企業内に残し自社を人材の宝庫にする最適な方法」について、改めて、考えて参ります。

前回の内容を簡単に復習します。

日本と西ヨーロッパは、封建制度を経験しました。

封建制度を経験した国々は、「御家=会社」に仕えるという思想に至ります。

「御家=会社」の発展が、自らの人生の発展につながるという思想に至ります。

そのため、日本では、社長自ら、経営指針書で会社の将来を示し、

社長自身が、経営指針に言動を一致させた経営を行うことで

社員は、「経営指針に向かえば自らの将来が保証される」と奮起し、会社も社員もともに成長するのです。

今回は、もう一点、封建制度を経験した国々が、その歴史的経緯から共通して持つ人事制度について考えみましょう。

封建制度を経験した国々が、その歴史的経緯から共通して持つ人事制度

それは、どのような人事制度だと思われますか?

因みに、この制度は、かつて日本領であった韓国にも根付いています。

日本以外に社員の定着率が高いイタリア、ベルギー、フランス、スペイン、ドイツ

こうした国々の植民地であった国々も同様の人事制度を持っています。

それは年功序列賃金です。

封建制度を経験した国々は、「御家=会社」に仕えていますので、「御家=会社」を治めるため、年功序列になるのです。

そして、これらの国々は、社員の解雇も難しくなるのです。

日本の会社は、社員を簡単に解雇できないと思って居る方も多いと思われますが

西ヨーロッパの国々は、日本よりも、労働者を解雇することが難しいのです。

それに対して、アメリカは如何でしょうか?

アメリカは、マニフェストディスティニーという言葉に表されますよう、

個人の権利は、個人対神で認められるのです。

アメリカでは、自社の労働者の権利は、個人の権利の一部であり、解雇は容易です。

だから、アメリカでは、労働者の権限と責任を明確にしなければならないのです。

何を怠れば解雇され、どのような責任を果たしていれば解雇されないのかを明確に取り決めなければならないのです。

テイラーの科学的管理法にはじまった“アメリカのビジネススクール発の経営管理手法”は、「簡単に解雇できる経営者が、簡単に解雇される労働者を雇用する」という発想に起因しているのです。

そして、この傾向は、第二次グローバリズムとともに一層強まりました。

日本でも、グローバル資本家の影響力が強い企業では、

「社員に対する給料を、コストとしか見ることができない」

アメリカ式経営管理を行うようになりました。

ただ、日本経済の底力を支える中小企業の多くは、労働者の権利を尊重した経営が守られています。

封建制度を経験した国々では一般的な年功序列賃金も続いています。

日本企業の中小企業においては、アメリカ式経営管理手法は適さないのです。

日本の中小企業では、経営指針書の最適運用こそが、

人件費を増やさずとも必要な人材を企業内に残し、自社を人材の宝庫にすることを可能にするのです。