第40号:新株予約権を経営と投資に活かせないオーナー社長は大損する!

いきなりですが、オーナー社長が有償の新株予約権を発行するとき、
一株当たり、一体いくらくらいで発行できると思いますか?

前提条件は以下の通りで考えます。

・①現在の株価¥100/株、
・②新株予約権の行使価格¥100/株、
・③新株予約権の行使までの残存期間は10年以内、
・④10年(=行使期間)ものの国債の利回り1%、
・⑤1年以内の株価変動率50%→⑥10年後の株価¥1,000

とすると、有償の新株予約権はいくらになると思いますか?

新株予約権も、10年後の株価も、
これら5つの条件を下記の式に入れますと算出できます。

C=S0​N(d1​)−Ke−rTN(d2​)
・C=新株予約権の価格

・S0=現在の株価
・K=行使価格
・r=行使期間の国債金利
・T=行使までの残存期間
・N(d)=標準正規分布の累積確率


因みに、最近では、チャットGTPが計算してくれますので
こんな式は覚える必要はありません。

答えは、¥45です。

今の株価が¥100/株なのに、
なんと、将来、¥100/株で株式を購入できる権利が
¥45/株で売れるのです。

権利だけで、その時点の株価の45%の資金が手に入る
これは凄いことだと思いませんか?

起業家であれば、創業資金の手当てに新株予約権を使わない手はないのです。

もちろん一般的な中小企業が新株予約権を発行しても
ニーズがないかもしれません。

ところが、経済産業省が一定のお墨付きを出した
エンジェル税制認定企業であればどうでしょうか?

エンジェル税制認定企業であれば
投資の募り方にもよりますが、
少なくとも普通の中小企業が投資を募るよりかは募りやすいはずです。

一方、投資家から、このケースを見た時は如何でしょうか?

仮に、投資家が10年後に株式に転換すると考えた場合、
株式に転換する時点で支払う金額は「②新株予約権の行使価格¥100/株」です。

最初に支払った新株予約権¥45に、「②新株予約権の行使価格¥100/株」を加えた
合計¥145/株のコストで¥1,000/株の株式が購入出来るのです。

これも凄いことだと思いませんか?

エンジェル税制と同じく、この新株予約権も、
知っているか否かで、活用出来るか否かで、
企業経営にも人生設計にも、大きな差が生じる制度なのです。

そこで、今回のコラムの本題に入ります。

エンジェル投資を行う前に、
有償で新株予約権を購入しておくことで生じるメリットは主に三つあります。

直近2回のコラムでは、
エンジェル投資を行う前に、有償で新株予約権を購入しておくことで生じるメリット
の2つ目までを、お伝えして参りました。

前々回のコラムでは、有償の新株予約権を購入した後、
エンジェル税制認定企業と関係を持ち、
この企業に投資しても良いかを見定めてから投資できることで、
エンジェル税制のリスクを極小化できるというメリットを述べさせて頂きました。

前回のコラムでは、有償の新株予約権を購入した後は、
会社法の手続きを経ず、いつでも株式に転換できることから、
いわゆる投資の最適化が図られやすくなることをお伝えしました。

そこで、今回のコラムでは、
エンジェル投資を行う前に、有償で新株予約権を購入しておくことで生じるメリット
その三つ目をお伝えして参ります。

三つめのメリットとは、エンジェル投資におけるリターンを極大化できることです。

先ほどの計算例でもお分かりのとおり、
創業間もないスタートアップの株価は、一般的に低く設定されています。

事業が数年継続し、成長への道筋や収益モデルが明確になるにつれて、
株価は一気に跳ね上がります。

ところが、ストックオプションを活用すれば、
株式転換の基準となる価格を、
スタートアップ初期の低い株価に設定することが可能となります。

これも先ほどの計算例で示した通りです。

創業間もないスタートアップの新株予約権を¥45/株で購入しておけば、
株価がいくらになっていても、追加費用¥100/株で株式を保有できるのです。

その結果、ストックオプションを行使する際には、
初期段階の安い価格で株式を取得できることで、
その後の株価上昇によって得られる利益は、飛躍的に大きなものになりえる
のです。

逆に、エンジェル起業家の立場で言えば、
創業間もない時点で、新株に変更する権利だけを売るだけで、
創業間もない時点の株価の45%の資金が手に入るのです。

このように、オーナー家の資金極大化を志向するオーナー社長が、
エンジェル投資の前に、新株予約権を購入すれば、
エンジェル税制認定企業とビジネス上の有益な関係を築きながら、
投資のリスクを抑えつつ、
より高い自由度のもとで、より大きなリターンが狙えるのです。
また、オーナー家の資金極大化を志向するオーナー社長が、
エンジェル投資の前に、新株予約権を購入すれば、
エンジェル投資に時間軸の概念が加わり、
リスクの極小化とリターンの極大化を同時に実現
できるのです。

――これこそが、
新株予約券を活用したエンジェル投資における“合わせ技”の第三の真実なのです。

今回のコラムはここまでとなります。

次回からは、
エンジェル税制を投資家の立場から活用するだけでなく、
オーナー社長自らが、エンジェル税制認定起業の設立に参画することで得られる
6つのメリットについて、お伝えしてまいります。

なお、エンジェル税制の大恩恵をさらに詳しく知りたい方、
認定企業である株式会社maximumへ投資を検討されている方、
エンジェル税制認定企業を立ち上げ、
自らのビジネス拡大に活用されたいとお考えの方は、
ぜひ下記よりお問い合わせください。
https://www.mku-consulting.com/maximuminc/

代表電話(03-5843-7228)にお電話をいただけましたら、
私のほうから折り返しご連絡もいたします。


すべてのオーナー社長が、
この新株予約権をエンジェル投資とエンジェル起業の両側面から活用することで、
オーナー家とオーナー経営の資金極大化が実現しますよう。