第56号:個人保証は外せるのか―“外せる会社”と“外せない会社”を分ける絶対条件!

私は、多角化を志向するオーナー社長が、
2社目の経営が軌道に乗った段階で、必ず口にする言葉があります。

それが、「社長!そろそろ個人保証を外しましょう!」という一言です。

では、なぜ2社目が軌道に乗った時点で、
個人保証を外す必要があるのでしょうか?

その理由は明確です。
個人保証が、機動的な意思決定を妨げるからです。

ここで、最近私が相談を受けた事例をご紹介します。

福祉事業と廃棄物処理業を経営していた、
N社長というオーナー社長がおられました。

N社長は、両社とも個人保証に入っていました。

そのN社長が、
「廃棄物処理業を整理し、新たな事業に挑戦したい」
とのことで、私のもとに相談に来られたのです。

ところが、ここで大きな問題が生じます。

両社とも個人保証に入っているため、
片方の事業だけを切り離して整理することができないのです。

なぜだと思われますか?

当たり前の話ですが、
廃棄物処理業を整理する際、個人保証に入っている場合、
本来、その会社が負うべき負債は、
福祉事業を経営しているN社長個人に移ります。

つまり、一つの事業の整理が、
他の事業にも重くのしかかる構造が出来上がってしまうのです。

だからこそ私は断言します。

複数社経営が軌道に乗った段階で、個人保証は必ず外しておくべきなのです。

では、この個人保証――
一体、どのような方法で外すのが最適と言えるのでしょうか?

そして、外せる会社と外せない会社の違いは、どこにあるのでしょうか?

今回のコラムでは、
この「個人保証の解除」という問題について、
本質から迫って参ります。

まず、個人保証ガイドラインにおいて、
個人保証を外すための要件は大きく三点あります。

①法人と個人の資産・経理が明確に分離されていること
②法人が適時適切な情報開示を行い、財務の透明性が確保されていること
③法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と金融機関が判断できること

つまり、経営者個人に依存しない
“自立した企業体”であることが前提条件と言えます。

ところが、このガイドラインをもとに
「条件を満たせば外せる」という論調が広がり、
いわゆる「個人保証解除専門コンサル」と名乗る方々による、
銀行との交渉論・テクニック論が氾濫しています。

しかし、ここで一度立ち止まって考えていただきたいのです。

本当に“交渉”で、個人保証が外れるものなのでしょうか?

私はこれまで、数多くの企業を見てきました。
その中で明確に言えることがあります。

同じようにガイドラインを満たしていても、
「外れる会社」と「外れない会社」がはっきり分かれるという事実です。

だからこそ私は断言します。

個人保証を“制度の問題”と捉える企業は個人保証が外れず、
個人保証を“経営構造の問題“と捉える企業は個人保証を外すことができるのです。

実際に私は、
「個人保証解除専門コンサルに依頼したが、個人保証が外れなかった」
という相談を数多く受けてきました。

黒字かつ、ガイドラインを満たしているにも関わらず、個人保証が外れない。

一方、私が関与した企業は、
多くの企業が、条件未達でも個人保証解除にいたっています。

この差は、どこから生まれるのでしょうか?

ここで重要なのが、金融機関が“本当に見ているものは何か?”です。

金融機関は、書類を見ているようで、実は書類を見ていません。

見ているのは、次の3つです。

①書類ではなく“再現性”
「社長がいないと回らない会社か?」
それとも
「誰がやっても回る仕組みになっているか?」

②利益ではなく“構造”
「たまたま儲かっているのか?」
それとも
「儲かる仕組みができているのか?」

③経営者ではなく“経営体制”
「この社長だから返せるのか?」
それとも
「この会社なら誰が社長でも返せるのか?」

つまり、“社長がいなくても回る会社かどうか”
これが最大の判断基準なのです。

ここで一つ、重要な概念をお伝えします。

私はこのような経営スタイルを「保証不要経営」と呼んでいます。

「保証不要経営」とは何かと言いますと、
“経営者が抜けても、金融機関が回収可能と判断できる経営状態”
のことです。

なぜこれが重要なのでしょうか?

個人保証の本質は「信用補完」です。

つまり、会社単体では信用が足りないため、
経営者個人が信用を補っているのです。

だからこそ、会社単体で信用が完結すれば、個人保証は不要になるのです。

では、外れる会社と外れない会社は、どこで分かれるのでしょうか?

私は、次の4つで決まると考えています。

①単一事業依存か、複数事業による分散構造か
②属人経営か、仕組み経営か
③借入依存か、内部資金創出構造か
④キラー経営資源が不明確か、明確か

これら4つが整っていない会社は、
どれだけ交渉しても個人保証は外れません。

逆に、個人保証が外れない会社の特徴は明確です。

①社長がいないと回らない
②利益の再現性がない
③単一事業に依存している
④内部資金創出力が弱い

大事なことなので、もう一度お伝えします。

個人保証は“外すもの”ではなく、
“個人保証が外れる事業活動により外れるもの”なのです。

だからこそ、
ガイドラインを満たしても外れない会社は外れません。
逆に、満たしていなくても外れる会社は外れます。

なぜか?

銀行は制度ではなく、“構造”に信用を付与するからです。

では、何をすべきでしょうか?

答えは一つです。

「保証を外す努力」ではなく、
「保証が不要な経営構造をつくること」です。

具体的には、

①キラー経営資源磨き上げの仕組み化
②事業経営者を量産する仕組み化
③複数事業がキラー経営資源を磨き上げ合い、資金を生み出す構造の構築

これらが揃った企業では、
個人保証は自然と外れていきます。

金融機関の側からは、
「個人保証を外してでも支援したい会社」になるのです。

大事なことなので、もう一度お伝えします。

これらの構造が整っていない企業が、
ガイドラインに当てはめて交渉しても、
個人保証を外すことは困難です。

“個人保証が外れる構造”を作った会社だけが外れるのです。

ただし、冒頭のN社長のように、
すでに状況が差し迫っている場合は、交渉で外すしかありません。

しかし、私のコンサルティングでは、
「条件を満たしているから外してほしい」という
野暮な交渉は行いません。

なぜなら、それは“正論の押し付け”であり、
現場では通用しないからです。

本当に重要なのは、
「その会社が、これからどのような経営構造を持つのか」
ここに力点を置いて交渉します。

これこそが、私の考える“個人保証解除の本質”です。

さらに申し上げます。

私が推奨する、エンジェル税制認定企業を活用した多角化を志向していれば、

そもそも、N社長のように、
複数の会社すべてで個人保証に入るという状況自体が起こりません。

なぜなら、投資家に安心して投資していただくための条件を整えていく過程で、
自然と金融機関も「個人保証が不要な会社」へと変わっていくからです。

なお、個人保証や担保に依存しない経営の設計について知りたい方
エンジェル税制についてさらに詳しく知りたい方
エンジェル税制認定企業を立ち上げ、自らのビジネス拡大に活用されたいとお考えの方は、
ぜひ下記よりお問い合わせください。
https://www.mku-consulting.com/maximuminc/
代表電話(03-5843-7228)にお電話をいただけましたら、
私のほうから折り返しご連絡もいたします。

一人でも多くのオーナー社長が、
エンジェル税制認定企業を活用した多角化に取り組むことで、
個人保証によって多角化リスクが増幅することなく、
安心してチャレンジできる事業環境が整いますよう!