第52号:銀行が補助金を紹介しない会社vs銀行が補助金を紹介したくなる会社!

あなたの周りに「何か良い補助金がないか!」
そんなことばかり相談してくるオーナー社長はおりませんか?

私は経営コンサルタントという仕事柄
「何か良い補助金はないか!」という相談を周りにしまくっているオーナー社長を
紹介されることが多く御座います。

私は、このような相談をされた時点で、
「その会社は多くの面で機能不全を起こしている会社!」ということを悟ります。

では、どうして「何か良い補助金はないか!」と相談をするオーナー社長の会社は
多くの面で機能不全を起こしていると言えるのでしょうか?

そもそも、補助金を活用することで最も成長する可能性が高いオーナー社長は、
補助金ではなく、自らの事業活動の結果を再投資し、
自らの手による成長を志向します。

一方、「何か良い補助金はないか!」ということばかりを考えているオーナー社長は、
自らの事業活動の結果を再投資し、
成長するという道を最初から放棄しています。

そうした頭からは、“事業成果によるビジネスの成功”という思考が遠ざかります。

そこで、私は、このような相談を受けた場合、
「◎◎社長の会社は銀行が補助金を紹介したくなる会社になっていますか?」
と尋ねるようにしています。

実は、銀行が補助金を紹介したくなる会社になることこそが、
補助金を活用して成功する会社へとなる近道だと言えるのです。

では、銀行が補助金を紹介したくなる会社になるためにも、
銀行が補助金を紹介したくない会社について考えて参りましょう。

そのことを考えれば、自ずと答えはでてきます。

私がこれまでコンサルティングの現場で見てきた中で、
銀行自ら補助金を紹介したくないオーナー社長には、
はっきりとした共通点が御座います。

しかも、それは感覚論ではありません。
銀行という組織が、何を見て、何を嫌い、どのような会社に資金も情報も寄せたくなるのか。
その構造を理解すれば、答えは極めて明快です。

そこで本日は、
銀行自ら補助金を紹介したくないオーナー社長、ワースト3をお伝えします。

第3位は、「情報開示に消極的なオーナー社長」です。
第2位は、「財務基盤強化に具体策を持ち得ていないオーナー社長」です。

では、金融機関自ら補助金を紹介したくないオーナー社長、ワースト3の第1位は、どのようなことだと思われますか?

答えは、「事業計画がないオーナー社長」です。

大事なことなので、先に結論を申し上げます。
銀行が補助金を紹介したくなる会社とは、
①利害関係者への情報開示に積極的で、
②貸借対照表の改善に向けた具体策を持ち、
③それらを事業計画で具体化している会社です。

逆に言えば、この三つを欠く会社は、
補助金以前に、銀行から「補助金を紹介したい会社」だとは見なされないのです。

なぜなら、問題の本質は、思考の順番が間違っていること。
これが全ての出発点だからです。

では、第3位から考えて参りましょう。

金融機関自ら補助金を紹介したがらない残念なオーナー社長は、
まず、自らの事業に関する説明が不十分な中で、
「何か良い補助金はないか!」
という自らの問いに対する答えを、
出来る限り早く聞きたがります。

ところが、相手が求めている問いに対して、
私が答えを出した後は、
その答えに対するフィードバックがありません。

私は、こういう場面を何度も見て参りました。
自分が聞きたいことは聞く。
しかし、自分からは開示しない。
自分は答えを求める。
しかし、相手の問いには答えない。

このように、コミュニケーションが一方的な社長には、
銀行だけでなく、企業活動に有益な情報は遠のいていくのです。

銀行が欲しいのは、「補助金を欲しがる人」ではありません。
銀行が知りたいのは、「この会社は何を目指し、どこに勝ち筋があり、何に困っており、何を開示できるのか」ということです。

情報開示とは、単なる資料提出ではありません。
自社の現実を言語化し、他者に理解可能な形で渡す力です。

この力を欠いたオーナー社長は、
補助金以前に、信用形成の入口に立てていないのです。

次に、第2位です。

銀行が補助金を紹介したがらない残念なオーナー社長は、
財務情報をもとに、自社が、今後、どのような方向を目指すべきかを自ら決め、
それを計画的に進めて行く術を持ち合わせておりません。

その結果、財務基盤が脆弱になります。

ここで、ぜひ理解していただきたい原理原則があります。
銀行にとって補助金とは、「国がお金を出してくれる制度」ではありません。

銀行実務の現場では、「補助金を呼び水にして、残りの資金をどう埋めるか」を問われる制度です。

銀行が補助金を紹介するということは、
補助金以外の部分を融資しようという意図のもと、紹介することが多いのです。

そうである以上、
“財務基盤強化に具体策を持ち合わせていないオーナー社長”に補助金を紹介することは、
銀行にとって、リスクでしかありません。

自己資本をどう厚くするのか。
在庫や売掛をどう圧縮するのか。
粗利構造をどう改善するのか。
借入の返済原資をどこから生み出すのか。

こうした問いに対して、
「分かりました」では話になりません。

銀行は願望には融資しません。
銀行が見るのは、願望が数字と計画に翻訳されているかどうかです。

だからこそ、貸借対照表を改善する具体策を持たない社長は、
補助金という制度を使う資格以前に、
金融機関から「危ない社長」と判断されてしまうのです。

では、第1位です。

銀行が補助金を紹介したがらない残念なオーナー社長は、
「何か良い補助金はないか!」
という発想のもと、
補助金ありきで、自らのビジネスを考えています。

これは、極めて危険です。

なぜなら、この発想の中には、
「誰に、何を、どのような価値として届け、その結果、どのように利益を生み、再投資していくのか」
という事業の本体が存在しないからです。

そのようなオーナー社長は、
補助金の範囲内で“ビジネスごっこ”をしようとしているのだから、
事業計画は存在しません。

私は断言します。
補助金を起点に事業を考える会社は、必ず失敗します。

事業計画とは、補助金申請書のことではありません。
事業計画とは、
①市場に対する仮説、
②勝ち筋の設計、
③必要資源の調達方法、
④回収見込み、
⑤撤退判断までを含めた、
経営者の意思決定の地図です。

この地図がない会社に対して、
銀行が補助金を紹介するはずがありません。

銀行は、“ビジネスごっこ”に付き合うほど暇ではないのです。

ここまでお読みになって、
では、銀行自ら補助金を紹介したくなるオーナー社長とは、
どのような人なのかと思われた方も多いはずです。

答えは簡単です。

銀行自ら補助金を紹介したくないオーナー社長、ワースト3をもとに、
その逆のオーナー社長になることを考えていけば良いのです。

つまり、
①利害関係者への情報開示に積極的で、
②貸借対照表の改善に向けた具体策を持ち、
③それらを事業計画で具体化しているオーナー社長です。

私は、これは銀行に限った話ではないと思います。

投資家も同じです。
取引先も同じです。
そして、一般の人間関係も同じです。

①②③を備えたオーナー社長に、
人は協力したくなります。

なぜなら、そのような人は、
相手に「見える形」で誠実さを示し、
相手に「数字で」安心を渡し、
相手に「計画で」未来を共有できるからです。

信用とは、情報開示、財務規律、事業計画の三位一体で積み上がるものなのです。

そして、この考え方は、補助金だけにとどまりません。

私が推し進めているエンジェル税制もまた、
国の制度である以上、考え方は同じです。

上記、①②③を備えたオーナー社長こそが、
「適正な事業計画」をもとに、
自らエンジェル税制認定企業の立ち上げに参画し、
「適正な情報開示」と「財務基盤強化への具体策」をもとに、
投資家からの応援を勝ち取り、
自らのビジネスを大きく羽ばたかせる機会をつかむのです。

その具体的事例として、私はメルカリの事例は大変示唆に富んでいるはずです。

メルカリは、日本においてエンジェル税制を活用し、成功を収めた企業の代表格と言えるでしょう。

2013年創業のフリマアプリ「メルカリ」は、
「Create value in a global marketplace」
すなわち、
「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」
という思想のもとに立ち上がりました。

創業初期のスタートアップにとって、銀行から十分な融資を得ることは容易ではなく、
個人投資家からの出資をいかに呼び込むかが大きな経営課題になります。
メルカリはその局面で、国の制度を信用補完装置として活用する道を選んだのです。

同社は、創業間もない時期からエンジェル税制を活用した資金調達に取り組み、
投資家にとって分かりやすい税制メリットを提示しながら、
複数の個人投資家の応援を集めることに成功しました。

その後、メルカリは2018年6月に東証マザーズへ上場し、
上場時には時価総額が約4,000億円規模と報じられるまでに成長しました。

ここで大切なのは、制度が企業を成長させたのではなく、
適正な事業計画と開示姿勢を持つ企業が、制度を味方につけたという順番です。

メルカリの歩みは、
オーナー社長が、「適正な事業計画」をもとに、
国の制度を味方につけ、
自らエンジェル税制認定企業の立ち上げに参画したこと。

そして創業後は、
「適正な情報開示」と「財務基盤強化への具体策」をもとに
投資家からの応援を勝ち取り、
エンジェル税制を
「個人投資家の心の扉を開く信頼装置」
として機能させた結果、
自らのビジネスを大きく羽ばたかせたことを示しています。

私は、補助金も、融資も、投資も、
本質は全て同じだと思っています。

制度を追いかける会社は、制度に振り回されます。
一方で、事業の原理原則を押さえた会社は、
制度を味方に変えることができます。

だからこそ、オーナー社長が本当に目指すべきは、
「何か良い補助金はないか!」
と聞き回ることではありません。

「銀行が、自ら補助金を紹介したくなる会社」
になることです。

大事なことなので、もう一度お伝えします。

銀行が補助金を紹介したくなる会社とは、
①利害関係者への情報開示に積極的で、
②貸借対照表の改善に向けた具体策を持ち、
③それらを事業計画で具体化している会社です。

この三つを備えれば、
補助金だけでなく、
融資も、投資も、仲間も、情報も集まりやすくなります。

逆に、この三つを欠けば、
どれほど制度を探しても、
一時しのぎの“ビジネスごっこ”で終わってしまいます。

正しい順番で取り組めば、必ず改善できます。
中小企業だからこそ、
オーナー社長の意思決定一つで、
情報開示の質も、財務改善の速度も、事業計画の鮮明さも、
劇的に変えられるのです。

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すべてのオーナー社長が、
エンジェル税制を活かした創造的事業活動という成果を再投資することで
自律的発展の元、永続不滅の繁栄を手にできる道を歩めますよう。