第29号:知らないオーナー社長は株を売るたび“未来への投資資金”を税金で失う!
株を売却して利益が出れば、20.315%の税金がかかります。
しかし、この税金、本当に今すぐ支払わなければならないものなのでしょうか?
この問いに答える前に
消費税を上げて法人税を減税すると、一体、誰が得するのでしょうか?
労働規制が緩和されると、非正規雇用が増えると、一体、誰が得するのでしょうか?
実質賃金が減ると、外国人労働者が入ってくると、一体、誰が得するのでしょうか?
輸出をメインにしている上場企業は消費税が上がれば
輸出還付金が増え、配当原資が増えます。
上場企業の大半は、労働規制が緩和されれば
人件費削減により、配当原資が増えます。
こう考えますと、ここ日本では
いかに上場企業の投資家優遇の政策が打たれてきたかが分かります。
日本は、上場企業投資家ファーストの国なのです。
その証拠に、上場企業の配当は、毎年、最高記録を更新しています。
その証拠に、分離課税の税率である20.315%は
所得税で言えば695万円超 ~ 900万円以下の23%より低いのです。
だから、投資家ファーストのこの日本で
株式譲渡益にかかる分離課税など
まともに払わなくて良い道があるに決まっているのです。
NISA口座を通じて保有した株式や投資信託の売却益と配当が
非課税になるというのは有名な話しです。
しかし、エンジェル税制を通じた非課税や先送りの話しは
あまり知られておりません。
そこで、前回のコラムでは
一撃で800万の課税所得を減らせるエンジェル税制優遇措置Aの真実に
迫ってまいりました。
そして、今回のコラムでは
株式譲渡益課税の支払い時期を自分で決められる
優遇措置Bの真実に迫ってまいります。
優遇措置Bは
オーナー社長にとって資金戦略を有利に進める切り札となりえます。
この制度を正しく理解し
自社の資金戦略に応用できるオーナー社長こそが
次代の繁栄を手にできます。
仕組みは極めてシンプルです。
ある年に株を売って利益が出たとき
利益の一部を、エンジェル税制の認定を受けた未上場スタートアップに投資します。
すると、その投資額を譲渡益から差し引けます。
そして、本来その年に課されるはずの所得税と復興特別所得税は
エンジェル税制認定企業の株式を売却する日まで先送りにできます。
たとえば、ある年に
ある株式を売却して3,000万円の譲渡益が発生したとします。
この年にエンジェル税制認定企業へ 1,000万円 を投資すれば
課税対象は 3,000万円から2,000万円 に減ります。
所得税と復興特別所得税の税率を 15.315% としますと
本来 459万4,500円 を払うはずだった税金が
306万3,000円 に下がり
その差額 153万1,500円 を手元に残せるのです。
繰り延べた税金は
将来、エンジェル税制認定企業の投資株を売却するときに課税されます。
しかし、エンジェル税制認定企業の株式を売るタイミングは
エンジェル投資家自身が決められます。
つまり、優遇措置Bの本質は
株式譲渡益における所得税の支払い時期を自分で決められることなのです。
さらに、投資先の株価が下落していれば、
繰延べていた税金のうち値下がり分には課税されません。
「手元資金を確保しながら税金の支払い時期を自分で決められる」ことに加えて
「株価が下がった分の税金を帳消しにできる」のです。
では、この仕組みをオーナー経営にどう活かすべきか――。
日々、資金繰りの最適化と真剣に向き合っているオーナー社長であれば
この時点で、優遇措置Bのすごさが見えてものと思います。
リスク集中型のオーナー経営においては
オーナー社長の味方が必要です。
優遇措置Bは、オーナー社長の資金戦略において
味方になりうる制度なのです。
そこで、優遇措置Bが資金戦略に応用できる場面は
大きく三つあります。
第一は、「国から無利子で資金を借りているのと同じ状況をつくってくれる」
無利息・無担保・無利子の借入金機能です。
優遇措置Bを活用すれば
本来すぐに納めるはずの税金を一定期間手元に残し
未来への投資に回せます。
しかも利息も担保も不要です。
この資金を運転資金や人材採用
新しい設備投資やDX、新規事業の立ち上げといった成長投資に回せば
優遇措置Bを有効活用すれば
自ら経営するすべての事業の成長スピードを
一気に加速させることができます。
第二は、「株価が下がれば、その分の税負担が消してくれる」
投資のリスク軽減機能です。
たとえば、ある株式で3,000万円の売却益が出た年に
1,000万円を優遇措置Bで投資したとします。
すると、その1,000万円分は、課税が繰り延べできます。
そして将来、その株が値下がりすれば
繰り延べていた税金のうち下落分は支払う必要がありません。
1,000万円で投資した株が、売却時に500万円に下がっていた場合
500万円に課税されるだけで
下落分の500万円に対する税金は帳消しとなるのです。
つまり、国がエンジェル投資のリスクを肩代わりしてくれているのです。
さらに、優遇措置Bで投資した株式で損失が出て
売却同年に他の株式でも損失があれば
その損失は売却時点から3年間
ほかの株式の利益とも通算できます。
たとえば、1,000万円で投資したエンジェル税制認定企業の株が
500万円で売却できた場合
本来なら売却金額の500万円に課税されます。
ところが、同じ年に全く別の株式で600万円の損失があれば
課税はゼロとなります。
さらに、600万円から500万円を差し引いた残り100万円の損失は
翌年以降に繰り越せます。
このような優遇措置Bのリスク軽減機能は
エンジェル投資のハードルを下げ
オーナー社長に安心して挑戦できる環境を整えているのです。
第三は、「納税の時期を自分で選べる」
資金繰り調整機能です。
優遇措置Bによる繰延べ納税は投資株式を売却するときに確定します。
言い換えれば、税金を払う時期を事実上コントロールできるのです。
たとえば自らの事業で
五年後に株式公開やM&Aといった大きな収入イベントを予定しているとします。
その場合、それまで税金を繰り延べて資金を事業拡大に充て
株式公開やM&Aが実現し、大きな資金を手にした時点で
まとめて納税すればよいのです。
要するに優遇措置Bは
税金の支払いを未来のイベントに合わせて設計できる仕組みを備えているのです。
税金を後回しにして手元資金を厚くすれば、その間、経営を加速でます。
優遇措置Bを考える上で重要なのは「発想の転換」です。
多くのオーナー社長は「どうやって税金を減らすか」ばかり考えがちですが
優遇措置Bの真価は“税を減らす経営”ではなく
“税を操る経営”に目覚めたときにこそ発揮されます。
繰り延べた税金を無利子の借入に見立てて成長投資に回せば
自社の拡大を力強く後押しできます。
さらに株価が下がれば繰延べた税金の一部が帳消しとなることで
国がエンジェル投資のリスクを分担してくれる前提で
エンジェル投資における投資戦略を描けます。
加えて最適な納税時期を自ら選べることで
資金の時間的価値を最大限に引き出す経営が可能となります。
こうした仕組みを正しく運用すれば
オーナー社長は未来の投資や資金戦略を先取りしつつ
リスクを抑えて成長の歩みを速められるのです。
手元資金を活かした経営が実現し
事業拡大のスピードは一気に加速するのです。
エンジェル税制の大恩恵についてさらに詳しく聞いてみたいと思われる方は
ぜひ下記URLよりお問い合わせください。
▶︎ https://www.mku-consulting.com/maximuminc/
株式会社maximumでは、リスクを承知でお問合せいただく投資家の方には
私自身が真摯に向き合わせていただきます。
オーナー社長の資金戦略の味方になりうる制度
ぜひあなたの会社の資金戦略に取り入れてみてください。